情報数学 I
第五回: 集合
Martin J. Dürst
duerst@it.aoyama.ac.jp
O 棟 529号室
テュールスト マーティン ヤコブ
http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2005/Math%20I/lecture5.html
© 2005 Martin
J. Dürst 青山学院大学
先々週の宿題
提出: 再来週の金曜日 (11月
4日)、授業のはじめに。形式は A4 一枚。
- 第一問:
- 半加算器を NAND だけ (もしくは NOR だけ)
で作って書いて下さい。
- 第二問:
- 三つの真理値 (真: T、偽: F、未定 (分からない): ?)
を使う多値論理の基本的な真理表
(かつ、又は、ではない) を作って下さい。
- 解答:
- 別紙参照
記号論理
(symbolic logic)
- 論理のモデルを作って、記号演算だけで論理ができるようにする。
- 論理にはいくつかの種類がある。例えば:
- 二値論理 (真と偽だけ)
- 多値論理 (真と偽以外の値がある)
- ファジィ論理 (曖昧さの計算を含む)
- 命題論理 (propositional logic, 命題だけを使う)
- 述語論理 (predicate logic, 一階 (first order) 等)
- 時間など他の要素を取り入れた論理
論理に大切な演算子
「同値である」と
「ならば」の真理表
A |
B |
A ↔ B |
A → B |
T |
T |
T |
T |
T |
F |
F |
F |
F |
T |
F |
T |
F |
F |
T |
T |
「同値である」と「ならば」の性質
- 含意の除去: A→B =
¬A∨B = ¬(A∧¬B)
- 同値の除去: A↔B =
(A→B)∧(B→A) =
(A∧B)∨(¬A∧¬B)
- 推移律: ((A→B) ∧
(B→C)) → (A→C),
((A↔B) ∧ (B↔C)) →
(A↔C)
- 背理法: A→¬A = ¬A
- 対偶: A→B =
¬B→¬A
- 同値の性質: A↔B =
¬A↔¬B, ¬(A↔B) =
(A↔¬B)
- 含意の性質: T→A = A, F→A = T,
A→T = T, A→F = ¬A
恒真と恒偽
- 常に真の式を「恒真式」と呼ぶ。トートロジー
(tautology) ともいう。
- 常に偽の式を「恒偽式」と呼ぶ。
集合の概念
- 関心・対象にしたい物事の集まり
- 条件:
- 集合に属するかどうか明確な判断が可能
- 集合に属する
2つのものが同一かどうかの判断が可能
(同一の場合に一回しか集合に属さない)
- 集合に属するのは「元」もしくは「要素」という
- ある元 a がある集合 A に属する
(含まれる) ことを a ∈ A や A
∋ aと書く
(a is an element of set A)
- 含まない場合には a ∉ A や A
∌ aと書く
集合の表現
- 外延的記法 (denotation): 元を波括弧 ({})
内に列挙する
例: {T, F}, {T, ?, F}, {1, 2, 3, 4}
- 内包的記法 (connotation): 元になる条件を定義する
例: {n|n は整数で n>0 ∧
n<5}
部分集合とベキ集合
- 部分集合 (subset):
ある集合の元の一部を含まれる集合
A ⊂ B (A は B
の部分集合)
- 空集合 (empty set): 一つも元を含まない集合: {} 又は
∅
- ベキ集合 (power set):
ある集合の全ての部分集合の集合: P(A)
集合の演算 (その一)
- 和集合 (sum, union): A ∪ B
- 積集合 (product, intersection): A ∩ B
- 差集合 (difference set): A - B
集合演算 (その二)
- 普遍集合 (全体集合、universal set):
議論の対象にされている全体の要素の集合
例: 整数、正数、など
- 補集合 (complement, complementary set): Ac